CCGrid2003 開催概要
The 3rd IEEE/ACM International Symposium on Cluster Computing and the Grid (CCGrid 2003)
クラスターとグリッドという2つの新しいパラダイムが日々のコンピューティングに変化をもたらしています。双方とも、より経済的なハイパフォーマンスコンピューティング方法を求めるニーズから生まれたものであり、クラスターは強力なコンピュータを構築するための費用効率が高い商用部品を用いており、グリッドはインターネットで入手できる計算資源をより良く利用することを可能にします。

CCGrid2003は、IEEE Computer Society Task Force on Cluster Computer の主催により、国内外のクラスター・グリッド研究者、開発者、ユーザを一同に集め、今後の研究と製品を推進する最新の技術革新や研究成果について発表および意見交換を行う国際シンポジウムです。
期間 : 2003年5月12日(月)〜15日(木)
会場 : 都市センターホテル(東京都千代田区)
発表内容
グリッド基盤技術グループは、CCGrid2003 において4件のポスター発表を行いました。
  • A User-oriented Secure Filesystem on the Grid
  • A Grid-enabled System for Analysis of Brain Function
  • A Secure Grid Environment using IPsec on IPv6
  • The Development of Data Grid Environment for Neuroinformatics

A User-oriented Secure Filesystem on the Grid  武田伸悟(大阪大学大学院情報科学研究科)
【概要】
近年、インターネット上の様々な計算資源を共有する技術であるグリッドが盛んに研究されている。 信頼できない共有ネットワークに分散して配置されたストレージを使用するグリッドの環境においても、ユーザは容易かつ安全にデータを共有する手段を必要としている。しかし、現在のファイル転送サービスで利便性とセキュリティ両立するものはほとんどなく、グリッドで機密データを扱うことが困難となっている。
この問題を解決するため、我々はユーザ指向で安全なファイルシステムを、シームレスにグリッド環境に統合した。我々の開発したファイルシステムは、Grid Security Infrastructure (GSI) とSelf-certifying File System (SFS) の2つの技術を基礎としている。GSI は Globus Project の提供するグリッドのためのセキュリティ機構で、SFS はマサチューセッツ工科大学で開発された安全なネットワークファイルシステムである。我々はこれらの2つの技術を組み合わせ、新しいユーザ指向で安全なファイルシステム、GSI-SFS を開発した。

【発表ポスター(PDF)】 1 2

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A Grid-enabled System for Analysis of Brain Function  市川昊平(大阪大学大学院情報科学研究科)
【概要】
近年、グリッドは研究及び医療の両面において重要視されている。特に脳科学においてグリッドテクノロジーは非常に求められている。しかしながら、グリッド環境は非常に複雑であり、脳科学の研究者や医師にとってグリッドを使用するのは困難であるというのが現状である。そのため、グリッド上のリソースに透過的にアクセス可能な方法が求められている。
そのような観点から、われわれはユーザ要求に従ったジョブ実行制御機構を実装し、その上にWebベースのシステムとして脳機能解析や診断を支援するシステムの実装を行った。グリッドの複雑さはこのシステムの背後に隠蔽され、ユーザには透過的なアクセス方法が提供される。このシステムにより、脳科学研究者や医師には的確かつ効果的な脳機能解析及び診断が可能となる。

【発表ポスター(PDF)】 1 2

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A Secure Grid Environment using IPsec on IPv6  史 宏宇(大阪大学大学院情報科学研究科)
【概要】
グリッドはネットワーク上の PC や WS などのプロセッサ資源やデータストレージなどといった多様な要素を動的に統合可能とし、多数のユーザで共有できる一つの統一システムを構築する技術である。現在、高度なコラボレーション形態やコスト削減を実現する新しい機能を備えたグリッドは科学の分野だけではなく、ビジネスへの応用といった観点からも利用されつつある。このような背景から、ユーザのグリッドへのアクセスは、安全で頑強であることが要求される。
本研究では、IPsec (IP Security) と IKE (Internet Key Exchange) を基盤技術としてセキュリティソリューションをグリッド環境に応用することにより、安全なグリッド環境の提案と構築を行った。さらに、グローバルコンピューティングへの対応を考慮し、そのグリッド環境をIPv6 ネットワーク上で構築した。CCGrid2003 では、IPv6 ネットワークにおけるセキュアなグリッド環境の構築技法とそのメカニズムを示す。

【発表ポスター(PDF)】 1 2

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The Development of Data Grid Environment for Neuroinformatics 高坂貴弘 (大阪大学大学院情報科学研究科)
【概要】
Neuroinformatics は脳の理解に向けての新しい研究領域であり、神経科学と情報科学の交点に位置する。Neuroinformatics の推進には、地理的に分散する研究機関が持つ各種のデータ、ツール及び数理モデルを統合的に扱うためのネットワークが必要である。Neuroinformatics の推進に必要となる最も基本的な要求事項は、データの記述、蓄積及び配布方法の確立であると筆者らは考える。現在は脳磁図 (MEG, Magnetoencephalography) を具体的な題材として、これらの要求事項についての考察を進めている。MEG は脳活動によって生じる微少な磁場の変化を検出することのできる装置である。統一的なフォーマットで各種実験から得られる MEG データの共有をはかることは Neuroinformatics の趣旨に照らして有意義であると言える。
CCGrid2003 では、Global Grid Forum の Data Access and Integration Working Group において設計及び実装が進められている OGSA-DAI を用いたデータ共有システムについて述べる。

【発表ポスター(PDF)】 1 2

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